京都下鴨病院で整形外科の理学療法士をしている小野志操のブログです。
肩関節・肘関節・手関節・股関節・膝関節・足関節・腰背部の術後療法や保存療法、スポーツ障害に対するリハビリテーションを行なっています。
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4th HASMS 2018 in Nagoya でシンポジストとして発表しました @ 今池ガスホール 名古屋 11, Feb., 2018



名古屋の今池ガスホールで行われた、第4回 HASMS(Hip Arthroscopy Seminar for Medical Staff:メディカルスタッフのための股関節鏡セミナー)でシンポジストとして発表しました。

内容は「股関節鏡に関わるメディカルスタッフ間の連携について〜PTの立場から」についてです。

股関節鏡術後に限らず、術後患者さんに対するメディカルスタッフ間の連携は術後成績を良好に経過させるために重要であると考えています。

今回は施設間PTの連携にフォーカスを当ててお話をさせて頂きました。

股関節鏡術後のリハビリテーションではThe Steadman Clinic(Dr. Marc J Philippon)で用いられているプロトコール(術後スケジュール)をmodifiedしたものを使用している施設が多いです。私が勤務している京都下鴨病院も同じくです。
こちらがそのプロトコールで、産業医科大学若松病院の内田宗志先生が作成されたもので、同病院 高橋誠先生が和訳されたものです。

このプロトコールでは基本的に股関節唇の修復過程を阻害しないように4つのPhaseで構成されています。

Phase I:術後早期 0〜4週 

Phase II:術後中期4〜8週 Phase III:アドバンス期8~12週 

Phase IV: スポーツ復帰16週以降 

Phase I 目的 縫合した関節唇の修復をできるだけ保護。 1)疼痛軽減、消炎鎮痛2)修復した関節唇の保護(あまり激しく動かさない)3)筋力の低下を抑制を目的にリハビリを行うアイソメトリック(等尺性筋力訓練)を行い他動可動域訓練は最初は緩やかに徐々に可動域を広げる。
3週までは リハビリをするとき以外は、装具を外転と回旋を防止する装具を装着する。
可動域の制限は

屈曲0-120°
外転 45°
外旋 0°(←これは重要です:無視すると遅発性の外側大腿皮神経症状を起こします)


等尺性訓練(大殿筋、中殿筋他)
エアロバイク
は術後翌日から開始。
他動可動域訓練は理学療法士の管理下に行う。

Phase II 術後中期(4~8週) 1)修復した関節唇の保護2)可動域を回復させていき、可動域を完全にする3)松葉杖をはずして正常歩行


筋力増強訓練を基本にリハビリを行う。 

コアースタビリティーを行いエアロバイクを抵抗をいれる。
片脚起立やバランス訓練可動域と歩行が完全によくなれば、筋力を積極的に回復させる。この時期に痛みや引っかかりが有れば、関節唇の損傷が十分でない可能性があるので、無理なリハビリはすすめず、プロトコールを遅らせる必要が有る。
 
Phase IIIアドバンス期 (
スポーツ復帰までの準備 )
1)筋力回復 耐久性の向上2)心肺機能回復3)神経筋の制御を回復させ適合していく。


メニューとしては 
Lunges 
片脚スクワット  
アジリティーランニング
スケーティングプログラム
などを行う。

この時点で可動域および筋力を獲得し、疼痛がなければ、スポーツテストを行う。スポーツテストが合格すれば、 Phase IV スポーツ特異的なリハビリテーション復帰へとすすめ、徐々に競技復帰する。


股関節鏡を行う多くの医療機関でこのプロトコールを導入していると思いますが、股関節鏡手術後受けることに至る病態と背景は患者さんによって様々です。

このプロトコールは純粋な骨形態異常(Cam typeやPincer type、もしくはその両方)の患者さんに対するリハビリテーションでは有効であると思います。実際に円滑に回復している患者さんが多くお見えです。

しかし、背景にHip Spine Syndrome(含む腰椎椎間板障害)、潜在的なスポーツヘルニア、仙腸関節障害などを有する患者さんもお見えです。

施設間のPT連携においてはこの部分の評価をしっかりと伝える必要があります。

前述した各疾患の病態については、次の機会に記載したいと思います。

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