2013/09/01

股関節前方被覆を確認する「False Profile」法 

股関節前部痛を生じる病態として臼蓋形成不全やFemoroacetabular impingement(FAI)、Groin pain syndromeなどが挙げられる。これらの病態には骨盤と大腿骨のアライメント異常が大きく関与しているとの報告が多い。

実際の臨床において股関節前部痛が生じている症例の運動療法にあたり、股関節前方特に大腿直筋反回頭(Rectus femoris reflected head)がトリガーとなっている症例を経験する。

Rectus femoris reflected head
 大腿直筋反回頭は股関節唇と連続する腸骨大腿靭帯に起始しており、この部分での拘縮が股関節前部痛の一要因となっている可能性があると考えている。

Asheesh Bedi et al.: Capsular Management During Hip Arthroscopy: From Femoroacetabular Impingement to Instability:Arthroscopy: The Journal of Arthroscopic and Related Surgery
Volume 27, Issue 12 , Pages 1720-1731, December 2011より引用
理学所見として大切にしていることは、Thomas test、Quadrant test、Patric test(FABER test)、Ober test(内旋強制変法)、股関節伸展可動域、反回頭の圧痛などである。

症例によっては数回の理学療法により症状が緩解するが、治療成績を示すために客観的な画像所見として介入前後の比較を行いたい。

昨日、明石運動器リハビリテーション研究会に参加した際、大久保病院の柴原基先生にFalse Profile法という単純X線評価を教えて頂いた。

股関節の単純X線評価方法として、正面像でのCE角(25°以上が正常)やSharp角(男性40°、女性45°未満が正常)や、軸位像などが用いられる。これらの評価は主に前額面での臼蓋被覆や大腿骨頭と臼蓋の適合性を評価している。

False Profile法ではvertical-center-anteriormargin angle(VCAangle)を用いて前後方向での臼蓋被覆や臼蓋に対する前後方向での骨頭の位置関係を評価することが出来る。

 工藤正喜ほか:股関節撮影-False Profile撮影法-日本放射線技術学会雑誌61巻5号691-700,2005より引用

この撮影方法とエコーを用いて客観的な画像所見として、今後治療成績を示していきたいと考えている。

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