2013年9月22日・23日の2日間、第22回整形外科リハビリテーション学会学術集会に当院の理学療法士4名が参加してきました。本学会は日本の整形外科領域におけるリハビリテーションの学会としては最大の学会です。全演題口述発表という、authorとaudienceが活発に討論する活気溢れる学会です。私自身は第12回学術集会から毎年参加していますので、今年で10年連続で参加しています。
当院の福島友里先生がFAI Cam typeの症例報告をされました。
FAI(Femoroacetabular impingement 大腿寛骨臼インピンジメント)は、レディ・ガガさんや松本人志さんがこの病気で手術をされたことでも有名です。
FAIは、2003年にGanzら(Ganz R, Parvizi J, Beck M, Leunig M, Nötzli H, Siebenrock KA.:Femoroacetabular impingement: a cause for osteoarthritis of the hip.:Clin Orthop Relat Res. 2003 Dec;(417):112-20.)によってその概念が提唱され、股関節痛や股関節唇損傷や早期の変形性股関節症の前駆病態として認識されるようになってきました。
Wegnerら(Wenger DE, Kendell KR, Miner MR, Trousdale RT. :Acetabular labral tears rarely occur in the absence of bony abnormalities.:Clin Orthop Relat Res 2004; 426: 145-50.)は、股関節唇損傷の約87%は骨の形態学的異常が原因であると報告しています。
Eramaら(Emara K, Samir W, Motasem EL H, Ghafar KA.Conservative treatment for mild femoroacetabular impingement. published in J Orthop Surg (Hong Kong). 2011 Apr;19(1):41-5.)は、FAIの約73%は保存療法の適応であったと報告しています。
保存療法の適応が多いということは、FAIとは骨の形態学的異常に起因する軟部組織障害(関節唇と周辺の関節構成体と筋も含む)ということであると考えられます。
今回の福島先生の治療成績は大変良好で、併せてあった仙腸関節由来の疼痛発生機序との鑑別も明確なものでした。
今後も一症例の症状に耳を傾け、真摯に理学療法を行なっていきたいと考えています。
学会のオープニングレクチャーの中で、伊賀上野市立総合病院の猪田先生が引用されていた、私も尊敬している理学療法士 岸田敏嗣先生の言葉 「答えは患者さんの中にある」 の意味深さに感銘を受けた学会となりました。