京都下鴨病院で整形外科の理学療法士をしている小野志操のブログです。
肩関節・肘関節・手関節・股関節・膝関節・足関節・腰背部の術後療法や保存療法、スポーツ障害に対するリハビリテーションを行なっています。
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The 27th Annual Congress of the International Society for Technology in Arthroplasty (ISTA 2014) 24-27, Sept 2014 @ Kyoto, Hotel Okura


 International Society for Technology in Arthroplasty (ISTA)という人工関節の国際学会でTKAの術後膝屈曲角と股関節可動域との関連について発表してきました。







TKA術後の膝関節可動域に影響を及ぼす因子については、術前膝関節可動域、膝蓋骨の厚みや変形、コンポーネント設置角度、Joint Lineの高さ、術後疼痛、術後リハビリテーションなど様々な報告がなされています。

膝関節伸展機構の術後癒着を予防することで術後屈曲角が概ね130°という深屈曲を獲得できることについて42th JSRAで報告しました。

それでもなお、術後膝屈曲角にばらつぎがあることも事実です。

術後患者さんの長坐位姿勢をよく観察すると、膝屈曲角が良好な症例では坐骨支持であり、膝屈曲角が不良な症例では仙骨支持となっている印象を持ちました。

「術後膝屈曲角と股関節可動域に関連があるのか?」=「二関節筋の影響があるのか?」という疑問を持ちました。

そこで、昨年の5th JOSKASで術後膝屈曲角が術前よりも低下した症例について術後膝屈曲角と股関節可動域に関連があるか否かについて調査し、股関節回旋可動域と術後膝屈曲角に相関があることを報告しました。

今回のISTAでは術後膝屈曲角で良好群(≦125°)と不良群(>125°)の2群に分けて調査しました。

結果はスライドに示すとおりですが、平均の術後膝屈曲角は良好群で132°と術前と有意差がない程度に改善しましたが、不良群では111°と術前よりも有意に低下しました。

単回帰分析では術後膝屈曲角と股関節内旋に正の相関を認め(r=0.27 p<0.05)、術後膝屈曲角と股関節回旋可動域にも正の相関を認めました(r=0.35 p<0.05)

重回帰分析では術前膝屈曲角、股関節外旋、股関節内旋が術後膝屈曲角の説明変数として選択されました。

また、良好群と不良群では股関節回旋可動域が良好群で有意に大きいことが示されました。(p<0.05)

今回の結果から股関節可動域が術後膝屈曲角に関与することが示唆されます。このことが意味することについての考察は様々成り立ちますが、少なくとも膝関節に停止する二関節筋の関与を疑う必要があります。

そこに着目した治療成績について今後報告していきたいと考えています。


今回は膝のセッションで主に参加しましたが、PSI(Patient Specific Instrumentation)の発表が多かったです。

Zimmerホームページより
PSIとは、患者さんのCTデータから、個々の患者さんの骨のモデルを作成し、その人の関節の形状に合った特注の骨切ガイドを製造し、正確にインプラントを設置するという方法です。


医師は正確にインプラントを設置するための技術革新を進めています。
PSIについて知ること自体は正直わたしたち理学療法士にはほとんど関係ありません。なぜならば、私たち理学療法士は軟部組織を治療対象としているからです。しかし、医師が革新を続けるように私たち理学療法士もより良い治療成績を目指して努力を続ける必要があります。

Dr. Greg Brown

私と同じセッションで発表されたGregory A Brown先生(MD, PhD;Park Nicollet Orthopedic Clinic)が発表の中で治療成績の向上で期待されることは、「痛みを取り除くこと」、「術後リハビリテーション」、「機能的に動く関節」と言われていました。

Greg先生はハーバード医科大学を出られた超エリートですが、発表の結論はシンプルでした。

私たち理学療法士も日々技術革新出来るように臨床と研究に勤しまなければならないと感じた学会でした。

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